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インドの車窓からVol.2

 

こんにちは!みゆです。

今回はちょっと真面目な話。この団体の、根っこの話。




幸せって何だ?



私にとっての幸せは「美しいもの」を見つけた時。それは秋空だったり,歌の詩や色,言葉,大切な人々,ふとした瞬間に見える思いやりの気持ち,友人たちの生き生きしているときの表情だったりする。今,大学で美術を学んでいるけど,ここでいう「美しいもの」というのはそういう哲学的なことや芸術的なもののことじゃなくて,日常の中でふと気づけばあるものたちのこと。



SPに入って一年ほどたった冬,団体の理念が「自分らしい生き方への挑戦を」に変わった。これを決めるために,当時のメンバーと子どもたちの幸せのカタチを考え,考た。なぜなら,私たちの活動はインドの人々が幸せになるためにあると 考えていたら。でも,ひたすらわからなかった。メンバー内ですら「幸せのカタチ」は人それぞれなのに,インドの子どもたちのことなんて環境や常識,文化,バックグラウンド,ありとあらゆるものにおいてギャップが大きすぎる。現地に行ったメンバーも行ったことないメンバーも共に頭を抱えた。想像しても答えは出なかった。話し合うほどに複雑になり,私は理解が追い付かなかった。

 

貧困の子どもにとって,幸せって何だ?

 

―生きるための衣食住が整っていること,学校に通い教育を等しく受けること,差別のない社会で生きること,犯罪に巻き込まれず犯罪者にならないこと,家計に継続的な安定があり児童労働や物乞いをせずとも暮らせること,自分の考えを表現しても罰せられないこと,生活環境が衛生的であること,良い家族がいること。

「貧困の子どもたち」から連想されるマイナスのイメージを課題ととらえ,その解決が幸せであると考え,具体的な支援をしようとしている。でもその視点で,本当に子どもたちの幸せの根本を見つめることができているのだろうか?

 

結局,議論は冬休みまでに終わらず,翌年へと持ち越された。

 

年が変わって集まったメンバーの頭は,冬休みという期間で冷やされ,冬休み前の理念決めの時の混乱は落ち着いていた。その上で,再度子どもたちの幸せとは何かについて考えた。すると,数人のメンバーから新たな視点が生まれてきた。幸せとは課題解決のことではなく,その課題解決の先で,子どもたちが自らの力で実現していく「夢」なのではないか。私たちとインドの子供たちの意識にはあらゆる面で大きなギャップがあるけれど,これだけは共通して言うことができるのではないか。他のメンバーもそれに納得し,インドの子どもたちも,それを支援する私たちも自分らしさを軸に活動できるよう,SPの新たな理念「自分らしい生き方への挑戦を」が生まれた。



この理念に対して,自己実現よりもまず生きるための支援を目指すべきではないかと思う人も少なくないと思う。確かに,何よりもまずしっかり生きることの出来る環境が必要だ。でも実はこの理念は,そのことと強く結びついている。

子どもたちが自分の夢を実現できない,また,将来に夢を持つことすらしていない背景には様々な課題がある。その課題があるから,子どもたちは自分の努力だけでは自己実現ができない,自己実現の選択肢が広がらない。どうしようもない環境下で生きている。でも、成功するにしろ失敗するにしろ,それは周りの環境のせいではなく自分の努力や能力によるものであってほしい。そうして人生の学びを深めていってほしい。

だから私たちは,自己実現に向けて教育という面から課題解決にアプローチをしていく。

 

これまで,Smiles Productionという団体名について深く考えたことがなかった。でも2017の春,インドを訪れ,ふとその意味が気になった。

笑顔をつくりだす。その笑顔が自己実現によって生まれたら,なんて素敵なんだろう。インドに行って,この団体の名前がとても好きになった。

 

SPがあることで,学校をはじめとする様々なチャンスの中で,学びや人とのかかわりの中で自分に可能性を見出し,本当にそうなりたいと思える目標との出会いを掴んでほしい。

 

 

 

Miyu